真理はあなたを自由にする

「真理はあなたを自由にする」 2023/10/29

ヨハネの福音書8章31~36節

 イエス様が5つのパンと2匹の魚を5000個以上に増やしたり、病人を治したりするのを見たユダヤ人たちは、イエス様を「信じ」ました。しかしそれはイエス様にすべてをゆだねるという信じ方ではなく、「この人は便利で、役に立つ」という信じ方でした。そういう所が私たちにもあるのではないでしょうか?

ユダヤ人は、自分たちはもう神を知っており、信じていると思っていました。確かに「神」の名前を発音することさえ避けたり、「安息日」に仕事をしないために歩く歩数を制限したり、持ち運ぶ荷物の重さを制限したりする姿を見ると、一見熱心な信仰者に見えます。しかしすべて自分勝手な考えであり、神様ご自身のお考えから離れていました。現在のイスラエル人も、神様のお考えから離れたことをしているのではないでしょうか?

イエス様は彼らに「真理はあなたがたを自由にします」(32)と言われました。国会図書館の入り口にも掲げられている言葉ですが、ユダヤ人たちは「私たちは誰の奴隷でもない。私たちはすでに自由だ」と言いました。しかし彼らは「罪の奴隷」(34)だったのです。ユダヤ人に限らず、すべての人は、生まれた時から罪の奴隷です。なすべき善を知りながら出来ない。やめるべき悪を知りながらやめられない。ではどうすれば良いのでしょうか?それは「イエス様の言葉にとどまる」ことです(31)。イエス様の言葉をよく聞き、思い巡らす時、人は本当の自分の姿、すなわち罪の奴隷である自分と出会います。それがわかった時、わたしたちに出来ることは一つだけです。「神様、罪深いわたしをお救いください」と叫ぶことです。その時わたしたちは、イエス様がわたしたちの代わりに十字架で死んでくださったことを知るのです。「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである」(ヨハネ3:16)。イエス様を「便利で役に立つ人」として信じるのではなく、救い主として信じる人は、罪の奴隷から解放され、本当の自由を得ます。これこそ「真理」です。宗教改革者マルチンルターは長年「神の罰」を恐れていましたが、この真理によって心が自由になり、全世界にこの真理を伝えました。この真理によって人は聖霊を受け、自然な形で神と隣人に仕える者となります。これこそ究極の自由なのです。

(永田 令 牧師)