あなたがたの手で

「あなたがたの手で」 2020/8/2 礼拝メッセージ

マタイ14:13-21

きょうは平和の主日です。終戦の5年後に姫路教会は誕生しました。それまで武力で敵を打ち負かすことだけを教えられてきた人々の心に、聖書は全く新しい価値観を与えたことでしょう。

今日の福音書は、5つのパンと2匹の魚で5000人以上の人々が満腹したという有名な奇跡です。珍しく4つの福音書すべてに記されている奇跡です。その日イエス様は、ひとり寂しい所へ行かれました。同志であったバプテスマのヨハネが処刑されたからです。そこへ癒しを求めて群衆が集まってきます。普通なら「今日は勘弁してくれ」と言いそうなところです。しかしイエス様は彼らを深く憐れみ、むしろ「喜んで」彼らを迎えました。この対応自体が、わたしたちの目には奇跡とすら思えます。こうして人々の病気を治したりしているうちに夕方になったので、弟子たちは群衆を解散させようとします。ところがイエス様は「あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」と言われました。そんなこと出来るわけがない。ここには5つのパンと2匹の魚しかないのに、と弟子たちは思ったことでしょう。これは他人の苦しみを自分のことのように感じることの出来ない人間の限界を表しています。しかしその現実を「わたしのところに持って来なさい」とイエス様は言われるのです。愛のないわたしたちの身代わりに、イエス様は十字架で死んでよみがえられました。このイエス様を信じ、このお方の手にわたしたち自身をゆだねる時、罪がゆるされ、今日の箇所のように「永遠の命に至るパン」をいただくことが出来ます。それが聖餐式です。

「あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」とイエス様は言われました。もちろん奇跡を起こしたのはイエス様ですが、それを群衆に配ったのは確かに弟子たちでした。それと同じように、イエス様の手に自分自身をゆだねる者は、自分が永遠のいのちをいただくだけでなく、それを人々に配る者になります。本来愛のない者が、愛のわざを行うようになる。これこそ奇跡です。このことを1人1人が信じる時、地上に主の平和が広がっていくことでしょう。

(永田 令牧師)