ほんとうに豊かな人

「ほんとうに豊かな人」 2019/8/11

伝道者の書 2:18~26
ルカ12:13~21

いま2つの大国が「自分たちの利益」を求めて争っています。しかしその性質はわたしたちの中にもあります。
ある人がイエス様に「遺産相続」について陳情し、イエス様は「いったいだれが、わたしをあなたがたの裁判官や調停者に任命したのですか。」とお答えになりました(ルカ12:14)。それは、「神様はそれぞれの地域にちゃんと裁判官や調停人を立てておられるのだから、その人に相談しなさい」ということです。
ルターは、「神様はすべてを支配しておられ、信仰の世界を右手で、一般社会を左手で治めておられる」と説きました(二王国論)。そしてそれぞれの任務のために専門家を置かれました。だからわたしたちは地上の様々な問題に直面した時、一方で牧師に祈ってもらったり御言葉をいただいたりしつつ、一方で警察や弁護士などの専門家にも頼るべきなのです。
ところでイエス様が彼の相談に乗らなかったのは、彼の「貪欲」(15節)を見抜いたからでもあります。「貪欲」とは「既に持っているのに、もっと欲しがる欲望」のことです。そしてイエス様は「すでに金持ちなのに更に豊作になった百姓の話」をされます。彼はその豊作で得た収入を誰にも分けようとしませんでした。しかし神様が彼に望んでいたのは、それを使って貧しい人たちを助けることでした。それが律法の本質だからです。
わたしたちも「もう十分」ではなく「もっと欲しい」と思ってしまう者です。しかしそんなわたしたちの代わりに、イエス様が十字架で罰を受けてくださいました。イエス様を信じる人は、貪欲の罪がゆるされ、イエス様のいのち、富、功績を、「何の苦労もせずに」譲り受けます。「何の労苦もしなかった者に、自分の分け前を譲らなければならない。」と書かれてある通りです(伝道者2:21)。
そんな豊かないのちと富をわたしたちは譲り受けたのですから、この富を独り占めしないで、一人でも多くの人と分かち合って生きていきましょう。神様は必ずそれ以上のものを返してくださいます。こうしてわたしたちは、信仰生活においても社会生活においても、ほんとうに豊かな人になるのです。

(永田 令牧師)