最後の10リットル

「最後の10リットル」 2017/12/31

コロサイ1:15~20
ヨハネ2:1~11

今日は1年最後の日曜日。しかし教会歴では「最後」というのは特に強調されず、むしろ「最初のしるし」である「カナの婚礼」の箇所です。イエス様が水をぶどう酒に変えられた出来事です。
福音書では「奇跡」のことを「しるし」と言います。しるしとは「サイン」「目印」のことです。イエス様が水をぶどう酒に変えたという出来事の裏に、隠された意味(サイン)があるのです。
今日の箇所でイエス様は、台無しになりかかっていた結婚式の危機を救いました。聖書では、結婚式はよく天国にたとえられます。神様と人間が共に住み、夫婦のように遠慮なく交わりあう。そんな天国の到来を、イエス様が実現させたのです。どうやって?水をぶどう酒に変えることによってです。このぶどう酒はイエス様の血を表しています。
わたしたち人間は、花婿である神様の言葉を聞かず、日々悲しませながら生きています。だから本当ならば神様の裁きを受けるはずでした。しかし、わたしたちの代わりにイエス様ご自身が裁かれ、十字架で血を流して死んでくださいました。この血によって、神様と人間との和解(結婚)が成立したのです。そこに人間のわざを付け足す必要はありません。ぶどう酒に変わる前の水は「律法」を象徴しています。水では結婚式は台無しでした。ただ混ぜ物のないイエス様の血潮だけが、神様と人間との和解を実現するのです。
しかし神様と和解した者が、御言葉を信じて行動する時、その行いには大きな意味があります。今日の結婚式で、水をくんだ手伝いの者たちは、それがぶどう酒に変わることを知らずに、ただイエス様の言葉に従って、水がめを縁まで満杯にしました。その結果、その縁の分(10リットル程)も全部ぶどう酒に変わり、より多くの人々が喜びを味わったのです。わたしたちも、理解できないことや未知のことであっても、御言葉を信じて行動しましょう。その結果、天国の喜びを味わう人が更に増え、それがわたしたちの喜びにもなります。 (永田 令 牧師)