約束の虹

「約束の虹」 2024/2/18

マルコの福音書1章9~15節

  先週の水曜日(2/14)は「灰の水曜日」という日で、この日から四旬節(受難節)に入りました。イエス様の苦しみを覚える期間です。四旬節はその名の通り40日間続きます(日曜日は除く)。「40」という数字は、聖書では「苦しみ」「嘆き」「忍耐」等を表します。しかも苦しみの「極み」です。昔の「むちうち刑」の回数は39回でした。40回目で死ぬ罪人たちがいたからです。

今日の福音書は、イエス様が荒野で40日間サタンの誘惑を受けられた箇所です。その直前、イエス様は洗礼者ヨハネから洗礼をお受けになりました。そのとき父なる神様が天から声をかけ、聖霊様が鳩のようにイエス様にくだりました。「父」「子」「聖霊」という三位一体の神様が集結されたのです。イエス様は喜びに満たされたことでしょう。ところが次の瞬間、聖霊様はイエス様を荒野に「投げ出し」、イエス様はサタンの誘惑に遭われました。今もサタンは人を誘惑します。「靴音もたてずに」近づきます。しかも落ち込んでいる時より、調子の良い時の方が要注意です。イエス様が洗礼を受けてすぐ誘惑を受けたように。

しかしイエス様はサタンに勝利されました。聖書の御言葉によって、ことごとくサタンを追い散らしました。その後もサタンとの戦いは続きましたが、常にイエス様は勝利されました。これがイエス様です。ところが最後は十字架で処刑されたのです。サタンは歓喜したことでしょう。「ついに我々が勝った」と。しかしこの十字架の死こそ、イエス様の本当の勝利でした。イエス様は3日目に復活され、世界中に勝利を宣言されました。それはイエス様だけでなく、イエス様を信じるすべての人の勝利でもあります。すぐ誘惑に負けてしまったり、神様よりも自分のことを優先してしまうわたしたちのために、イエス様は身代わりに十字架で死んでくださり、よみがえられたのでした。だから信仰をもってイエス様の十字架を仰ぎ見る人は、罪からも、死からも、悪魔からも救われています。これが福音です。

ノアの洪水で雨が40日間続いた後、ノアたちは助かり、空に虹がかかりました。この虹は後のイエス様の十字架による救いを象徴する「約束の虹」です。虹を見た人が、「ほら虹ですよ」とつい人に言いたくなってしまうように、わたしたちもイエス様の十字架を指さして言いましょう。「ほら、あれが救いですよ」と。

(永田 令 牧師)