下に根を張り、上に実を結ぶ

「下に根を張り、上に実を結ぶ」 2024/2/4

イザヤ書37章30~36節

 姫路教会の今年のあいことばは「下に根を張り、上に実を結ぶ」(イザヤ37:31)です。預言者イザヤがこの言葉を語った時代は、現代と同様「軍事侵攻の連続」でした。当時最強の軍隊と言われたアッシリア帝国が、シリア、フェニキア、バビロン、エジプトを次々に征服し、北イスラエルも滅ぼしてしまいます。そしてついにイザヤたちのいる南ユダにまで侵攻してきたのです。当時の南ユダの王はヒゼキヤというとても信仰深い人でしたが、アッシリアは容赦なく襲ってきました。神様を信じていても大きな苦難はやって来るのです。

アッシリア軍は首都エルサレムを包囲し、神様を侮り、ヒゼキヤ王に降伏を迫りました。その時ヒゼキヤ王はイザヤに頼みます。「祈ってください」(4)。「このような絶体絶命のピンチに、祈りなど無意味」などと言わずに、ヒゼキヤは祈りを要請したのです。そしてヒゼキヤ自身も祈りました。すると神様がイザヤを通して語られました。「アッシリアはこの町に侵入しない」(33)。そしてその言葉通り、アッシリア軍は一夜のうちに十八万五千人が死に、慌てて国に帰って行ったのでした。

神様が助けてくださるのは、その人の信仰深さや、行いの正しさによるのではありません。神の御子イエス様が人間の不信仰や恐れや弱さを背負って十字架で死んで、よみがえってくださったからこそ人は救われるのです。神様より人間を頼りにする部分がヒゼキヤ王にもあったのですが、信仰によって救い主を仰ぎ見て、勝利したのでした。

今年のあいことば「下に根を張り、上に実を結ぶ」は、アッシリアが神様とヒゼキヤを侮り、ヒゼキヤが涙ながらに祈った時にイザヤを通して与えられた言葉です。たとえ今、目に見える状況が荒れていても、あきらめないで、しっかり下に根を張っていこう。そうすればいつか必ず神様が地上に花を咲かせ、実を実らせくださる、という預言です。本当ならば罪のために神様から裁かれなければならないわたしたち人間ですが、イエス様の身代わりによって救われました。そのことを知り、心から喜ぶ人こそ、下に根を張り、上に実を結ぶことが出来る人です。そしてその実がどんどん周囲の人々へと広がっていくのです。

(永田 令 牧師)