善き力にわれ囲まれ

「善き力にわれ囲まれ」 2023/5/21 復活節第7主日礼拝メッセージ

ルカの福音書24章44~53節

 今日はキリスト教の暦では「昇天主日」です。イエスキリストが復活されて40日目に弟子たちの目の前で天に昇られたことを記念する日曜日です。イエス様は「突然消えた」のではなく、まるで船が出航するように、ゆっくり天に昇って行かれました。 それは「目に見える姿ではもうイエス様と会えないんだ。これからはわたしたちがイエス様のことを世に伝えて行かなければならないんだ。」ということを、弟子たちにはっきり自覚させるためでした。目に見える姿ではもうイエス様と会えない・・それは弟子たちにとって大変心細いことのはずです。しかし弟子たちは「非常な喜びを抱いてエルサレムに帰った」と52節に書かれています。なぜでしょうか?それは彼らに与えられた二つの約束によります。一つ目はイエス様と入れ替わりに聖霊様がやってくるという約束です。「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます」(使徒1:8)。この「力」は原語のギリシャ語では「デュナミス」で、「ダイナマイト」の語源です。自分の中にある「自己中心の壁」を、ダイナマイトのように打ち壊して相手のことを考える、そんな力を、イエス様の弟子は聖霊様によって「着せて」いただけるのです(49)。

もう一つの約束は、昇天されたイエス様が、いつか再び天からおいでになるという約束です。いわゆるイエス様の「再臨」です。その時イエス様を信じる者たちも、今日の箇所のイエス様のように天に引上げられると聖書に書かれています。それは再臨の時だけでなく、すでに地上を旅立った信仰者たちも天に昇って行ったということであり、これから旅立つわたしたちも、苦難や悲しみの多いこの地上から、悲しみのない天へ、喜びながら引き上げられるということをも示しています。そして「この事実を、家族や友人や、あらゆる人々に知らなさい」と聖書は語ります。そのためにわたしたちは聖霊様の「力」を着せられているのです。そしてそのことをいつも確認し、励まし合うために教会があり、兄弟姉妹がいてくれます。イエス様の弟子たちも一人ではありませんでした。わたしたちも教会の仲間と祈り合い、共に聖餐にあずかりながら、皆でイエス様を証しして参りましょう。「善き力に守られつつ/来たるべき時を待とう/夜も朝もいつも神は/われらと共にいます。」(D.ボンヘッファー「善き力にわれ囲まれ」より)

(永田 令牧師)