さらに大きなわざを

「さらに大きなわざを」 2023/5/7 復活節第5主日礼拝メッセージ

ヨハネの福音書14章1~14節

 今日のヨハネ14章は、最後の晩餐の場面です。このとき弟子たちの心は騒いでいました。イエス様の身に、そして自分たちの身に災いが起こる予感がしていたのです。するとイエス様は「あなたがたは心を騒がしてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい」と言われました(1節)。わたしたち人間は、「信じます」と言いながら、次の瞬間にはもう心が騒いでしまう者です。しかしそんなわたしたちの代わりにイエス様が十字架にかかり、わたしたちの不安も、心の騒ぎも、全部背負ってくださいました。だから安心しなさい、とイエス様は言われるのです。

しかしわたしたちには、どうしてもそれがわかりません。弟子のトマスもそうでした。彼は「主よ。どこへいらっしゃるのか、私たちにはわかりません。どうして、その道が私たちにわかりましょう」(5)と、イエス様に正直に訴えました。正直な思いをイエス様にぶつけることは良いことです。イエス様はトマスに「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。」(6)という最高の答を与えてくださいました。すると今度は別の弟子ピリポが「主よ。私たちに父を見せてください。そうすれば満足します」(8)と言いました。ピリポはイエス様と初めて出会った時から「この方はメシアだ」と信じた人です。けれどもイエス様が本当にどなたなのか、実はよくわかっていなかったのです。イエス様の弟子でも、いやむしろイエス様の弟子こそ、イエス様のことが一番わかっていない者です。しかしイエス様はそのような愚かな者をあえて弟子として選ばれました。「優れた人間だけがイエス様の弟子になれるのではない」ということを教えるために。彼らはイエス様が捕まった時、みんなイエス様を見捨てて逃げてしまいました。しかしイエス様は彼らを見捨てず、復活された後、弟子たちを責めるどころか、偉大な使命を託されたのです。「主の証人として全世界に福音を宣べ伝える」という使命です。「わたしを信じる者は…さらに大きなわざを行います」(12)。これは、イエス様の時代にはなかった様々なツールや技術を使って、世界中に福音を宣べ伝える者に、あなたはなる、という意味なのです。

(永田 令牧師)