羊たちは沈黙しない

「羊たちは沈黙しない」 2023/4/30 復活節第4主日礼拝メッセージ

ヨハネの福音書10章1~10節

聖書ではよく人間と神様の関係を、羊と羊飼いの関係にたとえています。有名な詩篇23篇では「主は私の羊飼い。私は、乏しいことがありません」(1節)とあります。イスラエルの民は、エジプトを脱出した後の荒野の旅で、これが事実であることを経験しました。神様は不思議な方法で水や食料を与えてくださり、彼らは何ひとつ「乏しいこと」がなかったのです。

今日の福音書でイエス様は「わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます」(11)と言われました。羊というのは特に武器を持っていないため、敵に襲われたら逃げるしかありません。また方向音痴なのでエサの場所がわかりません。だから羊飼いが必要です。羊飼いの声はちゃんと聞き分け、素直に従う性質があるそうです。「この人はわたしを大事にして、助けてくれる」という信頼があるからでしょう。

イスラエルには「悪い羊飼い」もたくさん現れました。ニセ預言者やパリサイ人たちです。彼らは羊のことより自分のことを気にかけていました。また「聖書はこう言っている」と言いながら、自分の善行で天国に行けるかのように教えました。しかしそれはミスリードです。自分の善行で天国に行ける人は1人もいません。イエスキリストは、羊(人間)のためにいのちを捨ててくださいました。人間の罪を背負ってムチ打たれ、十字架で死んでくださり、よみがえられました。このイエス様を信頼し、イエス様について行くならば、その人は緑の牧場(天国)へ導かれます。

羊にはもうひとつの特徴があります。「群れることを好む」という特徴です。初代教会の時代から、クリスチャンたちは教会に集まり、「使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをして」きました(使徒2:42)。羊同士が群れを作り、羊飼いの教えを守り、聖餐にあずかり、共に交わる・・。その中に、今もイエス様はいてくださいます。そして「毎日救われる人々を仲間に加えて」くださいます(使徒2:47)。教会の羊たちは決して沈黙しません。共に賛美の声を上げ、希望を告白し、福音を宣べ伝えます。その時、主もまた新たな仲間を教会に加えてくださることでしょう。

(永田 令牧師)