その通りです。でも・・・

「その通りです。でも・・・」 2021/9/5 聖霊降臨後第14主日礼拝メッセージ

マルコ7:24-37

イエス様と弟子たちがツロの地方へ行きました。そこは現在のレバノンやシリアにあたり、ユダヤ人にとっては「外国」でした。今まで多くの人にパンを与えたり病気を治したりと、休みなく活動されたので、「父なる神様とゆっくり交わりたい」と思って、イエス様は外国まで来られたのではないでしょうか?ところがツロにもイエス様のうわさは広がっていました。この地に住むスロ・フェニキアの女性が、娘から悪霊を追い出してもらおうと、イエス様のところへやってきました。ところがイエス様は意外にも冷たい態度を取られます。イエス様も当時のユダヤ人同様、外国人を差別していたのでしょうか?いいえそうではありません。神様がユダヤ人を選んだのは、全世界を救うためのパイプ役としてであって、決してユダヤ人が優秀だったからではありません。ユダヤ人はそこを誤解し、神様に対しても外国人に対しても傲慢な思いを持つようになったのです。わたしたちも特別に優秀だったから信仰に導かれたのではなく、他の人々を救うパイプ役として神様が一方的に選んでくださったのだ、ということを忘れないようにしましょう。

イエス様はこの女性に「子どもたち(ユダヤ人)のパンを取り上げて、小犬(異邦人)に投げてやるのはよくない」(27節)と、厳しい言い方をされました。それに対してこの女性は「主よ。そのとおりです。でも、食卓の下の小犬でも、子どもたちのパンくずをいただきます。」と答えました。自分は神様の恵みを受ける資格のない者だと認めつつ、でもそんな者にも神様の恵みは与えられている、と信じたのです。この信仰をイエス様は喜ばれ、彼女の娘から悪霊を追い出されたのでした。わたしたちも本来神様の恵みを受ける資格のない者です。しかし、そんなわたしたちの代わりにイエス様が十字架で死んでくださいました。このイエス様を信じ、恵みのおこぼれを受け取る人は、罪がゆるされ、「耳」が開かれ、「舌」のもつれが解かれます。すなわち神の言葉を悟り、人々に伝える者となるのです。イエス様の福音は今も世界中に広がっています。わたしたちもあらためて主の救いを喜び、それを人々に告げ知らせて参りましょう。

(永田 令 牧師)