タリタ・クミ!

「タリタ・クミ!」 2021/6/27 聖霊降臨後第5主日礼拝

マルコ5:21-43

きょうの箇所は、イエス様が会堂管理者ヤイロの娘を死からよみがえらせた話と、長血(血が止まらない病気)の女性をいやされた話がセットになっています。ヤイロは、娘が「死にかけています」(23)と言って、イエス様に助けを求めに来ました。ところが同じ場面がマタイの福音書では「娘がいま死にました」となっています。これはどちらかが嘘を言っているのではなく、「肉体の死は本当の死ではない」ということを教えています。「わたしは、よみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は、死んでも生きるのです」(ヨハネ11:25)。イエス様を信じる者は死んでも生きる・・。ということは、その逆も言えます。「イエス様を信じない者は生きていても死んでいる」。たとえ精力的に活動していても、実は死んでいる・・という可能性もあるのです。娘が死んだという知らせを聞いたとき、イエス様はヤイロに「恐れないで、ただ信じなさい」とおっしゃいました。大事なことは、イエス様を信じて「死んでも生きる」者となることです。

一方の長血の女性は、肉体の痛みだけでなく、人々から「罪びと」呼ばわりされて苦しんでいました。そして自分でも汚れた女だと思っていました。でもゆるされたい。神様から「あなたは清くなった」と言われたい。それで、その証拠となる「長血のいやし」を必死で求めていたのです。ところが彼女がイエス様の衣に触れた時、彼女は自分の「病気が直った」ことは感じましたが、「救われた」という実感はありませんでした。肉体のいやし=魂の救いではないからです。本当の「救い」のためには、イエス様に何もかも告白し、ゆるしを請う必要がありました。彼女はこっそりその場を立ち去るつもりでしたが、イエス様の前に進み出て、すべてを打ち明けました。その時、イエス様はおっしゃいました「あなたの信仰があなたを直した(救った)のです。安心して帰りなさい」(34)。彼女は体のいやしだけでなく、ついに魂の救いを得て、平安の中を歩き始めたのでした。

死んだヤイロの娘にイエス様が「タリタ・クミ(少女よ、起きなさい)」と言うと、少女は起き上がりました。彼女だけでなく、父親のヤイロも、長血の女も、目覚めて起き上がりました。わたしたちも落ち込むことがあってもイエス様にすべてを打ち明け、「タリタ・クミ」と言って励まし合い、イエス様の命で起き上がりましょう。そして平安の中を歩き出しましょう。

(永田 令 牧師)