肥えた地に蒔かれた種

「肥えた地に蒔かれた種 」聖霊降臨後第三主日礼拝メッセージ

マルコ4:26-34

5月30日の聖霊降臨祭以降、教会暦では「聖霊降臨後主日」という期間に入っています。この期間を表す色は緑です。そのイメージ通り、この期間は信仰者が「成長」するための期間です。成長させるのは人間の力ではなく、神様の力です。「神の国は、人が地に種を蒔くようなもので、夜は寝て、朝は起き、そうこうしているうちに、種は芽を出して育ちます。どのようにしてか、人は知りません」(マルコ4:26-27)。種をまいた本人も知らないうちに、種は「自動的に」芽を出し、育ちます。それと同じように、神様の国は、神様の平和は、いつのまにかわたしたちの心に、そしてわたしたちの周囲に広がっていくのです。

しかし、畑仕事の好きな方はご承知の通り、実際は種を蒔いてほったらかし、ということはなく、水をやったり手入れをしたり・・と、いろいろ大変です。それと同じように、わたしたちも成長するためにすべきことがあります。それは聖書を読んで、神様が喜ばれる生き方を学び、それを実践するということです。それを本気でやってみてわかることは、自分の心がいかに汚れており、神様の喜ばれる状態から遠いかということです。でもだからこそ、イエス様がその罪を背負ってわたしたちの代わりに十字架で死んで、よみがえってくださった、ということのありがたさがわかるのです。不純物のない土ではあまり作物は育ちません。でも虫の死骸やフンなどがたまった土は、やがて肥えた土となり、多くの作物を実らせます。「肥えた土」とは、自分の心が汚れたものでいっぱいであることを知っている心です。そこに福音の種(十字架の言葉)が蒔かれると、みるみる神の国が広がり、大きく成長します。まるで小さなからし種が大きな木に成長するように。「それが蒔かれると、生長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が巣を作れるほどになります」(32)。

わたしたちもからし種のように小さな者ですが、日々悔い改め、日々イエス様のゆるしに感謝して生きる時、また自分がゆるされたように人をゆるしていく時、神の国はわたしたちの心に、家庭に、職場に、そして世界に広がっていきます。人間の力ではなく、神様ご自身の力によって。

(永田 令 牧師)