わたしが建て直してみせる

「わたしが建て直してみせる」 2024/3/3

ヨハネの福音書2章13~22節

 旧約聖書「出エジプト記」20章には、神様が人間に与えられた10の戒め、いわゆる「十戒」が記されています。「あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。」「あなたの父と母を敬え。」「殺してはならない。」「姦淫してはならない。」…などです。これらは神様が人間に望んでおられる「人間本来の姿」であり、クリスチャンであるか否かに関係なくすべての人が守るべき生き方です。たとえ外見上は守っていたとしても、心の中で神様を軽んじたり、他の人々を軽んじたりしていたら、神様はお怒りになります。

今日の福音書は、イエス様が神殿で商売をしていた人々に対して激しく怒られた場面です。なぜこんなに怒られたのでしょうか?ここで売られていた羊や牛や鳩は、神殿で礼拝するためのいけにえ用の動物でした。家から動物を連れて来るのは大変なので、神殿の境内で買えるようにして、手軽に礼拝しようというわけです。それは大変便利なシステムでしたが、神様への「おそれと愛」がありませんでした。神様が十戒で命じておられるのは「神をおそれ愛しなさい」ということです。それが欠けて、礼拝が形骸化していたのでイエス様はお怒りになったのでした。

しかしもう一つの理由があります。それは「もう動物をいけにえにするのはやめなさい」ということです。なぜならイエス様ご自身がいけにえとして地上に来てくださったからです。わたしたち人間は十戒を守らず、神様をおそれず、愛さず、他人のことも自分ほどには愛せない者です。だからイエス様ご自身が、わたしたちの罪をゆるすためのいけにえとなって、十字架で死んでくださったのです。しかも羊や牛のような不完全ないけにえではなく、1回で永遠に有効ないけにえです。そして「この神殿をこわしてみなさい。わたしは、三日でそれを建てよう。」(19)とおっしゃった通り、イエス様は死んで3日目に復活され、「建て直され」ました。イエス様だけではありません。イエス様を信じる者も、聖霊の力によって日々建て直され、作り替えられます。十戒が指し示す「人間本来の姿」に、日々作り替えられていくのです。「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる。」(19節・新共同訳聖書)とのお言葉通りに。

(永田 令 牧師)