狐(きつね)と雛(ひな)

「狐(きつね)と雛(ひな)」 2022/3/13 四旬節第2主日礼拝メッセージ

ルカの福音書13章31~35節

今日は四旬節第2主日です。イエス様が十字架にかかられる日が近づいていたある日、何人かのパリサイ人がイエス様の所にやって来て、「ここから出てほかの所へ行きなさい。ヘロデがあなたを殺そうと思っています。」と言いました(31節)。彼らはイエス様を心配しているのではありません。裏で国主ヘロデと手を組み、イエス様をこの地方から追い出そうとしていたのです。イエス様はそれを見抜き、「行って、あの狐にこう言いなさい。」と言われました(32節)。「狐」というのはヘロデのことですが、ずいぶん厳しい言い方です。それは「ずるがしこい者」や「小心者」を指す言葉です。ヘロデは自分の兄弟の妻と不倫したり、自分の欲望とメンツのためにバプテスマのヨハネの首をはねたりと、神様の戒めをことごく破りました。このように神様へのおそれのないすべての人に対して、イエス様は怒りを持って「狐」と言われます。その中にはわたしたちも含まれます。わたしたちも神様の戒めより自分の欲望やメンツを優先する者だからです。しかしわたしたちがそのような者だからこそ、イエス様は一路エルサレムを目指されたのです。ヘロデに脅されようと、パリサイ人に邪魔されようと、イエス様は断固としてエルサレムへの道を進み続けました。その先にあるのはエルサレムのゴルゴダの丘。そこで十字架にかかって死ぬことがイエス様の目的でした。イエス様は悪霊を追い出し、病気も癒されましたが、その働きは、十字架の死と3日後の復活によってはじめて完成したのです。誰でも自分が狐のような者であることを素直に認めてイエス様を信じるならば罪が赦され、義(正しい者)とみなされ、神様の栄光をあらわす者に変えられます。「彼(アブラハム)は主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。」と書かれてある通りです(創世記15:6)。

きょうの聖書には「狐」だけでなく「ひな」も出て来ました。「わたしは、めんどりがひなを翼の下にかばうように、あなたの子らを幾たび集めようとしたことか。」(34節)。ひなは親鳥の助けがなければ生きて行けません。このひなのように全面的にイエス様に頼る者を、イエス様は翼の上に乗せて鷲のように飛び立ち、大きな使命へと持ち運んでくださいます。そして素晴らしい未来を見せてくださるのです。

(永田 令 牧師)