ペテロの信仰告白

「ペテロの信仰告白」 2017/9/17

     出エジプト6:2~8
     マタイ16:13~20

【今川喜代さんの信仰告白】
今川喜代さん。カナン・ルーテル教会信徒、2006年94歳で召天。長年にわたりご自分の家を開放し近所の子どもたちに聖書のお話をされてきました。児童伝道に特に熱心で、ある時訪問を受けた牧師に向かって「あなたの児童伝道に対する考えは?」と問い詰められ、励まそうと訪ねた牧師が逆に説教をされたほどでした。
そんな厳しい面のある今川さんでしたが、認知症が進むにつれてだんだんと柔和になっていき、特別養護老人ホームに入所した時にはすっかり優しいおばあちゃんとなりました。ホームの部屋を訪ねるといつもニコニコと迎えてくれて「イエスさまは生きておられる」「主は生きておられます」「ここは天国ですよ。時間になれば食事を持ってきてくれるし、シャツも靴下も古くなったら新しいものがもらえるのよ。本当にイエスさまは生きておられます」とお話しくださいました。
ある年、体調を崩し寝たきりでお正月を迎えられた今川さん。老人ホームではお年寄りが初詣に行けるように、手製の神社が作られていました。お見舞いに行った私は今川さんが車椅子で初詣に連れていかれるのではと心配になり、近くにおられた職員さんに「このおばあちゃんは教会の人なので神社にはお参りしないと思います」と声をかけると、その若い職員さんは「はい、それはみんなが知っている事ですから(無理にお連れすることはありません)」と。
今川さんはお話がまだできる時に、いつもホームの職員さんや他のお年寄りの方々に「神さまが食事も着物も与えてくださる」「本当に主は生きておられます」と信仰告白していたのです。だからたとえ体が弱って動けなくなっても、認知症になっても、今川さんは信仰のピンチを乗り越えることができて「幸いな人だなあ」と教会の人にも、教会に来ていない人にも、みんなから認めてもらえたのですね。 (河 尚志師)