試みからの脱出

「試みからの脱出」 2023/2/26 四旬節第一主日礼拝メッセージ

マタイの福音書4章1~11節

今日から四旬節主日に入りました。灰の水曜日(今年は2/22)からイースター(同4/9)までの40日間(日曜を除く)が四旬節です。聖書で40という数字は「試練」や「苦しみ」を表します。今日の福音書は、イエス様が荒野で40日の断食の末、悪魔の誘惑を受けたという箇所です。神の子であるイエス様にとって、悪魔の誘惑など本来痛くもかゆくもないはずです。しかしすべての人間を苦しみから救うために、イエス様は「兄弟たちと同じようになる」必要がありました(ヘブル2:17)。だから今日の誘惑は、イエス様にとっても厳しいものだったのです。

悪魔はいかにも邪悪な姿ではなく、一見清い姿で近づいてきます。「悪魔の道具は神の言、信仰深さ、文化、宗教、奇跡である」とルターが言った通りです。イエス様が40日の断食で霊的に恵まれていたタイミングで悪魔は近づきました。そして「これらの石をパンに変えよ」と言いました。つい乗ってしまいそうな誘惑です。しかしイエス様は「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。」(4節)と、「聖書の言葉」で対抗されました。聖書こそ悪魔に打ち勝つ 最高の武器です。しかし悪魔も負けていません。今度は自分も聖書の詩篇の言葉を使って「『御使いがあなたを支える』と聖書に書いてあるから、神殿の頂から飛び降りろ」と言ったのです。 しかしこの詩篇は神様に信頼することの大切さを教えているのであって、自分勝手な行動で神様を試みるように勧めているのではありません。イエス様は「神である主を試みてはならない(7節)」と、やはり聖書の言葉で悪魔の誘惑を退けました。
最後に悪魔は本性を表し、「私を拝めば全てをあげよう」と言いました。イエス様は「引き下がれ、サタン。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』と書いてある。」(10節)と、やはり聖書の言葉で勝利されたのです。

わたしたちも悪魔の誘惑に弱い者です。弟子のペテロもイエス様の十字架刑を阻止しようとしてイエス様から「下がれサタン」と言われました。わたしたちをあらゆる試みから脱出させてくれるもの、それはイエス様の十字架です。イエス様の血潮で全ての罪が赦された、この希望を告白する時、悪魔は逃げて行きます。ハレルヤ!

(永田令牧師)