「凡人力を武器にせよ」 2023/1/22 顕現後第３主日礼拝メッセージ

マタイの福音書4章12～23節

きょうはガリラヤの片田舎で漁師をしていたペテロたちがイエス様の弟子になる箇所です。イエス様がガリラヤで活動を始めた直接的なきっかけはバプテスマのヨハネが逮捕されたことでした。国主ヘロデの不倫を非難したために逮捕されたのですからヨハネも不本意だったと思います。しかしこの逮捕がなければイエス様のガリラヤ伝道はもっと後になり、ペテロたちが弟子になることもなかったかもしれません。「神のなさることはすべて時にかなって美しい」（伝道3：11）。わたしたちも、たとえ不条理に思うことがあっても、それを神様が最善に変えてくださることを信じましょう。

ガリラヤ入りしたイエス様は、さっそくペテロたち4人の漁師を弟子にします。マタイは詳しい経緯を省略して、ただ「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。」（4：19）というイエス様の言葉でペテロたちが従った点を強調しています。

ペテロたちの職業である「漁師」という言葉をイエス様は使われました。つまり今までの人生を認めたうえで、「その経験をわたしのために活かしてみないか？」と言われたのです。きっとペテロたちはうれしかったことでしょう。
人間を「とる」というのは、相手の個性や自主性を奪って、ただ将棋のコマのように相手を使う‥という意味ではありません。それは相手を「殺す」ことです。しかしこの「とる」という言葉はむしろ「命を与える」という意味です。イエス様がされたように福音を宣べ伝え、病気やわずらいを直すことです。イエス様は人々にいのちを与えるために、十字架でご自身のいのちをささげてくださいました。これが「人間をとる」ということです。だとすると、「人間をとる」という任務はとても重いものであり「私には絶対に無理です」となってしまいそうです。しかしイエス様は「わたしがあなたがたを人間をとる漁師に“してあげよう”」と言われたのです。弱い、凡人であるわたしたちを、イエス様ご自身が「人間をとる漁師」にしてくださいます。だから心配しないで、ペテロのようにイエス様について行きましょう。わたしたちが凡人だからこそ、イエス様の偉大な力が働いて、素晴らしい出来事が起こっていくのです（Ⅱコリント12：9）。

（永田令牧師）