「やりおる！」 2022/9/18 聖霊降臨後第１５主日礼拝メッセージ

ルカの福音書16章1～13節

東京オリ・パラのスポンサー契約にまつわる不正のニュースが世間を騒がせていますが、今日はイエス様が不正を奨励しているかのような箇所です。主人の財産を乱費していたことがバレた管理人。そこで彼は主人から油などを借りている人たちの書面を書き換え、負債の量を減らしてやります。クビになった後、助けてもらうためです。これは明らかな不正です。ところがこの主人は、彼がこうも抜けめなくやったのを「やりおる！」と（言ったかどうかはわかりませんが）ほめたというのです。なぜでしょうか？

もちろん聖書は不正を容認しても勧めてもいません。旧約聖書に「わたし（神）は、彼ら（不正で利益を得ている商人）のしていることをみな、いつまでも、決して忘れない。」と書かれています（アモス8：7）。不正は、人に対する罪である前に、神様に対する罪です。

しかしきょうのたとえは「天国」に関するものです。そして人は天国に入ることに関してのみ「不正」がゆるされる・・いや「不正」以外に入る方法がないのです。すべての人は、法律に引っかかるような犯罪は犯していなくても、心の中で不正や罪を犯しています。神様は「不正を忘れない方」ですから、そのままなら永遠の罰を受けます。しかしこの管理人は、自分でお金を管理できるうちに手を打ちました。「不正の富」で道を開いたのです。「不正の富」とはイエス様のいのちです。「神は唯一です。また、神と人との間の仲介者も唯一であって、それは人としてのキリスト・イエスです。キリストは、すべての人の贖いの代価として、ご自身をお与えになりました。これが時至ってなされたあかしなのです」（Ⅰテモテ2：5-6）。イエス様のいのちが、自分を救うために支払われた代価だったことを認めて、感謝してイエス様を受けとる。これが「不正の富」です。この不正の富を「利用」する時、神様は「やりおる！」と言ってほめてくださいます。

また今日のたとえは、「ビジネスマンが自分のお金や時間を上手に使うように、クリスチャンも自分の賜物を上手に使え」ということも教えています。お金や能力をただ浪費するのではなく、人々と福音のために使う時、イエス様は「やりおる！」と言ってほめてくださいます。

（永田 令 牧師）