敵意を無力化する方法

「敵意を無力化する方法」 2022/8/7 聖霊降臨後第9主日礼拝メッセージ

ヨハネの福音書15章9~12節

8月最初の日曜日は「平和の主日」。多くのキリスト教会で、平和を願って祈ったり、平和に関する御言葉を読んだりします。今年はロシアによるウクライナ侵攻が続く中でこの日を迎えました。この出来事を受けて「武力による防衛力を強化しよう」という声が世界中で高まっています。しかしイエス様は「剣を取る者は、剣で滅びる」と言われました。また旧約聖書のミカ書には、「彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。」と書かれています(4:3)。そしてこの平和を世界に発信するのはエルサレム(イスラエル)だと書かれています。しかし現在のイスラエルはむしろ率先して戦争を行っている有様です。ユダヤ人はいまだにイエス・キリストを認めず、「我々は神から律法を与えられた唯一の国民だから、自分たちだけで正しく世界を導ける」・・と思い込んでいるのです。ユダヤ人に限らず、「自分の力で愛を実践できる、平和を作り出せる」と思っているなら、その人はつまずいてしまいます。なぜなら、人間の中にはもともと愛がないからです。本当の愛は神様から来ます。神様はご自分の一人子イエス様を、わたしたち罪びとの代わりに十字架につけて、わたしたちを滅びから救ってくださいました。ここに愛があります。この神様の愛を受け入れ、イエス様をプレゼントとして受け取る時、聖霊様がわたしたちに与えられます。この聖霊様がわたしたちの中に「愛の実」を実らせてくださるのです。「御霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実…」(ガラテヤ5:23)との御言葉通りです。

最後の晩餐でイエス様は「互いに愛し合いなさい」と言われました(15:12)。イエス様との最後の夜に「自分たちの中で誰が一番偉いか?」と論じ合っていた弟子たちに、イエス様はそう言われたのです。イエス様の十字架によって「敵意は廃棄(無力化)され」ました(エペソ2:15)。だから自分の中に「敵意」を見つけても失望することはありません。たとえ敵意自体はあっても既に「無力化」しています。そのことを信じて、隣人への愛を実行しましょう。イエス様の十字架がそれを可能にしました。「あめつち造りし神は/人をも造り変えて/正しく清き魂/持つ身とならしめたもう」 (教会讃美歌171番「輝く日を仰ぐ時」より)

(永田 令 牧師)