愛の王国

「愛の王国」 2021/11/21 聖霊降臨後最終主日 礼拝メッセージ

ヨハネの福音書18章33~37節

今日は教会暦では1年最後の日曜日。来週28日からアドベント(待降節)に入り、教会暦の新年が始まります。1年最後の日曜日である今日は、特にカトリック教会などで「王たるキリストの祝日」と呼ばれ、イエス様が全人類の王様であることを覚える日曜日とされています。

きょうの聖書日課であるダニエル7章やヨハネの黙示録1章には、やがてイエス様が真の王様として雲に乗って再び地上に来られることが記されています。その時すべての人々、特に神様をおそれずイエス様に敵対していた人々が、天を見上げて「嘆く」と書かれています(黙示録1:7)。これは空想話ではなく現実であると聖書は強調しています。今日あらためてイエス様が真の王であり、絶対的な権威を持っておられるということを覚えましょう。そしてこのお方の言葉、すなわち聖書の言葉に真剣に耳を傾けましょう。

今日のもう一つの聖書箇所であるヨハネの福音書18章は、さきほどの2つの箇所とは打って変わって、イエス様が一人の死刑囚としてローマ総督ポンテオピラトから尋問されている箇所です。みすぼらしいイエス様の姿を見て「あなたのどこが王なのか?」とピラトは尋ねます。イエス様はその場で光に包まれることも出来ましたが、そうなさらずに、静かに十字架に向かっていかれました。私たちを救うためです。わたしたちは王なる神様に対しても、他の人々に対しても、無礼で自己中心な者です。しかしそんなわたしたちが罰を受けることなく、天国の民となれるように、イエス様が身代わりに十字架で罰を受けてくださったのです。イエス様の死と復活が自分を救うためだったと信じて洗礼を受ける人は救われ、天に国籍を持つ者となります。しかしすぐに天に引き上げられるのではなく、そのまま地上を歩み続けます。イエス様ご自身がそうであったように、神の国の者としての尊厳を持ちつつ、命をかけて人々に仕えるためであり、こうして神様の愛を人々に知らせるのです。その姿は周囲の人々に大きな影響を与え、地上に愛の王国を広めます。「私は力の上に帝国を築こうとして失敗した。イエス・キリストは愛の上に彼の王国を打ち立てている。」(ナポレオンの遺書より)

(永田 令牧師)